プロローグ きっかけは人それぞれ

最近巷では田舎暮らしにあこがれている人が増えているといいます。
かくいう私もはるばる京都からやってきた移住組みであるわけで、右も左もわからぬままどうにかこうにか今に至っています。
人それぞれ価値観も違いますので押し付けるつもりはありませんが私の場合は大正解、今では田舎暮らし楽しんでます。
環境は厳しいけれどストレスフリーで毎日が楽しくのんびり暮らせます。

ここに来る前は京都は宇治で小さなカフェをやっていました。京都は素敵なところだったんですが夏の暑さが半端じゃない。
連日35℃以上、ひどいときは38℃という日が続きます。 

宇治でやっていた時のカフェ←宇治でやっていた時のカフェ

こちら信州へは年数回の避暑で来ていました。
たぶん湿度が低いせいでしょうか、夏でもすがすがしく快適に過ごせる環境は「いつかこんなところで暮らせたらいいね」
という夢というか憧れみたいなものが心の中で膨らんでいきます。
しかし現実は厳しかった。おりしも世の中の不景気に引きずられるように商売も思うようにいかなくなる。
できればあと10年がんばってお金をためてリタイアして・・・と思っていたもののお金は貯まるどころか減る一方。
あげくのはて不採算事業を整理しようとしたところすべてが不採算で仕事がなくなる始末。(´д`;)
歳も50才という節目を迎え人類滅亡といわれる2012年まであと2年しかないじゃん!(これはジョークですが・・)
ということでこれからの人生悔いがないように楽しくいこうという結論になったわけです。

そんなある日転機となるきっかけが訪れたのです。


第一章 土地探し

2009年6月も終わりに近いある日、私は京都の暑さから逃げるようにまたこちら(長野県茅野市)に来ていました。

道はまっすぐ。向こうにみえるは八ヶ岳。←道はまっすぐ。向こうにみえるは八ヶ岳

毎回お世話になるペンションで愛犬とともに2泊3日の休暇をとっていました。
そのときはあいにくの雨で予定もなく時間を持て余していたところ詳しくは忘れましたがこちらでの移住の話になり
「良ければ会ってみたら」と紹介されたのが地元の不動産屋さんでした。
興味はあったもののまだ具体的に土地探しをするでもなく(お金もありませんでしたし・・)冷やかし半分を承知の上?で翌日お会いして
いろいろなところを案内していただくことになりました。
茅野市内から少しずつ八ヶ岳に向かうと風景も一変していきます。エコーラインを越える辺りから別荘地が増えてきます。
途中、自分の車をおいて不動産屋さんの車に同乗させてもらいいろいろなところを案内していただきました。
物件案内というよりチロリン村だとかコットン村だとかここにはこんなお店があるだとか田舎暮らしはどうだとか・・。
一通り案内して頂き自分の車を置いたところで「ありがとうございました」と別れるとき目に入ったのが大きな「販売中」の看板。
車を停めた時には気づかなかったのですがその「販売中」こそが今のお店になる場所だったのです。

工業公園を抜けた山の上の角地 ブルーシートは建築中のお隣さん
↑工業公園を抜けた山の上の角地                            ↑ブルーシートは建築中のお隣さん

「ここも売り地でしょうか?」と思わず聞いたのはその土地がなぜか「びびびーん」と気になったからです。
上原山工業公園の工場地帯を抜けた山の中の角地。向かいには永住の方のおうち、建築中の隣もまた永住とのこと。
前の道は行き止まりでエコーラインからも離れていてお店をやるには?だったのですがすごく静かでなぜか落ち着く場所だったのです。

第二章 縁は異なもの・・・?のもの


男女の出会いじゃないですが土地との出会いも人それぞれいろいろだと思います。
理想の土地を求めていろいろ探してみて回ってもなかなか出会えない方。もいれば、私みたいにふとしたことで出会える場合もあるのです
ここで私が感じた土地探しの極意(という大げさなもんじゃないですが・・)

1・土地探しは数打ちゃ当たると思いきや迷いが増える場合もある。
  大きな買い物です。理想を追い求めるのも当然です。が、妥協できるところとできないところをしっかり持って探さなければ視れば視るほど
  もっといいところがあるようで迷ってしまいます。その場所で受け取ったインスピレーション、自分の直感を信じるのもアリかもです。
2・せっかくの田舎暮らし。程よい山の中で自然と暮らす。
  生活の地に田舎を選ぶのだから今までの社会から離れて自然と共に暮らすのがいいと思います。この際都会の便利さはいさぎよく捨てましょう。
  田舎に住む以上いなかの暮らし方で楽しめばいいのです。今の世の中、車とネットがあれば何一つ不便は感じません。
3・電気と水道はいりますね。
  生活、特に永住するなら電気と水道は必要です。上下水道完備でなくてもいいですが水の確保は重要です。井戸を掘るにも費用がかかります。
  できればはじめから水と電気は確保できる場所を探すのがいいと思います。後はどうにかなるもんです。
4・できれば昼間と夜だけでなく夏と冬も見てみましょう。
  生活する環境としてふさわしいか地形や立地だけでなく音やにおい(特に畑の近くだったりすると。。ネ)もよく考えて。あと信州長野は雪国です。
  夏は快適でも冬は雪が降るのです。積雪の量とか寒さとか確認したほうがいいですね。でないと冬家から出られなくなっちゃう恐れアリです。
5.何よりも信頼できる人と出会うこと
  すべてはこれに尽きると思います。地元で生活されている方の意見は大事です。特に信頼できる不動産屋さんと出会えればいうことなし。
  土地を探すにしても家を建てるにしても信頼関係が大切です。この点自分場合はよかったと思います。

とまぁ、偉そうにいってますが大きな買い物、重大な決断が必要です。慎重になるのは当然ですが余り慎重になりすぎないほうがいいのかもですね。
さて私の場合、なぜかその土地が気になって気になって、京都へ帰る日の朝ももう一度見に行ってその日の夜には買うことに決めてしまいました。

第三章 先立つものはなんとやら・・。


さてさて、無謀にも買うことを決めたのはいいけれど突然のことでもあり先立つものがありません。
土地の値段としては京都の相場の10分の1ほどですが広さが結構あるのでそれなりです。
とりあえず手付けだけはどうにか工面できたのですが土地だけでなく家(お店)の費用も考えなくてはなりません。
はじめは住宅ローンを組めばいいかと簡単に考えていたのですが地目「原野」で現況建物なしということで銀行もいい顔してくれません。(´д`;)
それから金策に走る日々が始ります。小銭をかき集め国債を解約し、最終足りない分は事業用で融資を受けることでどうにか見通しが立ちました。
今思えば資金調達に関しては不動産屋さんに相談するのが一番ですね。(お金がある人には関係ない話ですが・・)
それからというものの土地もまだ自分のものになっていないのに夢はどんどん膨らんでいきます。
家(お店)の間取りはどうしようか、外観は?壁の色は?と。あーでもない、こーでもない、悩み続ける(でも一番楽しい)日々が続きます。
普通家の間取りを考える場合、土地の広さと建ぺい率、容積率などでおおむね広さは決まってしまうので限られた広さの中でいかに使い勝手が良く
格好のいい家を建てるかというところで間取りを工夫しますが今回は違うんですね。
土地の広さとしては十分あるのです。ないのは予算だけなんです。悲しいことにこれが現実です。 トホホ・・。
膨らみすぎた夢の間取りから必要最小限の間取りに軌道修正して家のデザインや雰囲気に重点をおいてまた、あーでもないこーでもないと。
ここで役に立ったのが「せっけい倶楽部」というフリーソフト。お薦めです。

せっけい倶楽部で考えた間取り 図面からの外観イメージ
↑せっけい倶楽部で考えた間取り(一部画像を加工しています)          ↑図面からの外観イメージ

間取りの設計はもちろん図面から外観や室内のパースまで表示できるのでイメージ作りの参考になります。そして無料なのがうれしいですね。
そんなこんなで不動産屋さんにも無理を聞いてもらい京都の暑い夏を過ごした9月のある日、やっとこさ土地の契約にとなりました。