第二十章 室内の仕上げ・木部の塗装

さてキッチンができていよいよホールでの作業です。まずは塗料などで床を汚さないよう床を貼る前に木部の塗装をします。
お店の雰囲気はチューダー様式をイメージしていますが太鼓梁などを用いることにより日本の古い民家のような雰囲気もあります。
「洋」の中に「和」のテイストを入れることで日本人にはどこか懐かしく自然と心が和む空間になり落ち着けるお店になったと思います。
色は古民家などで見られる濃い目のブラウン。ステイン系の塗料でうっすら木目が出るように塗りました。

 
↑白かった木部が                               ↑濃い目の茶色になりました(これはまだ1度塗りです)

 
↑太い梁や腰板なども塗っていきます                        ↑トイレのドアも同じ色で仕上げました

←高いところははしごに登って・・こわかったデス

吹き抜けの天井は一番高いところで約5m。はしごに登っての作業は足が震えるほど怖かったですがどうにか塗りました。
作業は思ったより手間がかかり柱や梁、腰板の部分を2度塗りして仕上げるのに1週間以上を費やしました。
塗装が終わったところで壁の煉瓦貼りです。ストーブの背面にあたる壁は壁耐火性を考えケイカル板で仕上げてもらっていますが
ここにデコレーションと防火の意味で煉瓦(ブリックタイル)を貼っていきます。作業は出窓のときとまったく同じで手馴れたもんです。
またストーブの煙突の取り付けもこの頃行いました。但しストーブ本体の設置は床が出来上がってから。まだまだ先になりそうです。

 
↑柱と柱の間に貼っていきます。まずは両端から        ↑だいぶ貼れました

 
↑後は目地をつめて完成です                         ↑天井(屋根)に煙突の穴が開きました

さて次はいよいよ最大の山場、ホールの床貼りへと進みます。

第二十一章 室内の仕上げ・ホールの床貼り

今回床を貼るホールの広さは風除室とトイレをあわせて約40u弱あります。そこを一つながりで貼っていくわけですが途中の柱や壁
トイレの中の給排水の穴などなどをうまくかわすように割り付けを考えなくてはなりません。どこを基準に貼っていくのが効率いいのか
石の枚数なども考えなくてはなりません。石は洗面所で貼ったのと同じ御影石ですが濡れた靴でも滑りにくいように磨きの石とバーナー
(表面がざらついた石)を交互に市松模様に貼っていきます。
まずは図面上で石の大きさにあわせたマス目をおいて大まかに割付を決めていきます。
ただこれだけでは幅木や柱の出っ張り、出窓の斜めの部分がよくわからないので実際に石を置いて確認していきます。

  
↑図面上でおおよその割付を決めたら                       ↑実際に石を並べて確認してみます

キッチンとのつながりやトイレの壁、入り口近くの柱、そして風除室や入り口ドアのとりあいなどに問題がないかを確認していきます。
端から貼っていくのですが最後にうまく合わないからといって貼りなおしができないので慎重に何度も何度も確認していきます。
全てが問題がないということでいよいよ床に墨付けをしていきます。長い直線は墨つぼを使い一気に直線を引くと楽にできます。

←曲がらないようにまっすぐと線を引きます

洗面所を貼った時にも書きましたが石材には、寸法誤差があります。多分手作業でカット、研磨をしているのでしょうかロットによって
寸法がばらばらなのです。1枚辺り1mmの誤差でも10枚貼れば1cmの誤差になってしまうので途中目地幅を修正しながらバランスを
確認して貼っていきます。また石だけでなく家の寸法でもmm単位の誤差があります。それらを考えてバランスよく目地が曲がらないように
貼っていくようにします。石はここでもスライド丸鋸を使い寸法に合わせてカットしていきます。微調整や細かい加工はディスクグラインダー
を使い現物あわせで少しずつカットしていきます。

 
↑出窓のところは斜めにカットする必要があります                ↑小さな半端が出てしまいました

 
↑市松模様になるよう交互に貼っていきます                   ↑トイレの中も石を貼りました

 
↑部屋の半分が貼れました                            ↑あとは目地をつめて完成です

 
↑出窓側も無事貼れました                            ↑入り口のドアの下は黒の御影石を貼りました

ホールが貼り終わり作業は風除室から玄関へと続きます。お店の入り口のドアの下は色違いの御影石で仕上げました。
このあと目地詰めをして完成です。これがまた大変でしたが少しずつ完成へと近づいていきます。
床材と同じ石を使ってストーブの台も作ってみました。コンパネとケイカル板で土台を作り石を貼り煉瓦を飾って仕上げました。
ここに設置するのは昔からの夢であった薪ストーブです。ゆらゆらとゆれる炎、そしてパチパチと薪がはぜる音。心が和みます。

 
↑ストーブ台が出来ました                               ↑調達した丸太の山

近くの専門店で購入したのはダッチウェストのクラシカルなタイプ。これ一台で家一軒全て暖房できます。夜もつけたまま寝られるので
快適です。燃料も丸太を調達して自分で薪割りすれば経済的(というかほとんどただ)でいうこと無し。お店の雰囲気にも良くあっています。
しかし床貼りが終わりストーブがついたのは長かった冬から春へと移ろうとしてたそんな頃、もうストーブの出番はありませんでした。
さて次は冬出来なかった外回りの続きです。